MIDI「超」入門(データ編)

イベント

MIDIのデータの一つ一つを「イベント」と呼びます。「メッセージ」と呼ばれる場合もあります。
以下に一覧を示します。

MIDIのデータです。実は他にもデータはありますが、DTMで通常使われない物は省いてあります。また、この分類は私が分けた物で、一般の入門書などとは違う場合があります。

MIDIの規格

MIDIイベント
ノートオン
ノートオフ
ピッチベンド
コントロールチェンジ
プログラムチェンジ

システム・エクスクルーシブ・メッセージ(sysEx)

SMFの規格

メタイベント
テキストイベント
コピーライトイベント
シーケンス/トラックネームイベント
マーカーイベント
テンポイベント
etc...

ノートオン
ノートオフ

ノートオンとノートオフのペアで、一つの「音」を表わします。この間が音が鳴っている時間です。
ノートオンイベントには、「ベロシティ(下参照)」という情報が付加されます。

なお、ノートオフにもベロシティはありますが、これに反応する音源はほとんどありません。また、これを設定できるシーケンサもあまり無いですから、通常は気にしなくていいですね。

ベロシティ

キーを押す「強さ」を表わします。なぜ「Velocity」か?速度センサーで検出しているんでしょう、きっと。
また、よく「音の大きさ」と書いてある入門書などがありますが、これは間違いです。
なぜかと言うと、あるレベル以上の音源ではベロシティ、すなわち弾く強さによって音色も変化するからです。
逆に、例えばオルガンなどでは本物と同じようにベロシティが違っても音量や音色が変化しない場合もあります。
設定によっては、ベロシティで音量は変化させずに音色だけ変える、というのも出来るかもしれません。

ピッチベンド

一時的に音を上げ下げする、キーボード付属のピッチベンドホイールに対応するイベントです。ギターを弾く人にはチョーキングやトレモロバーと言った方が分かりやすいかもしれません。MIDIのイベントは、ほとんどが0〜127の128段階ですが、このイベントは-8192〜8191と範囲が広くなっています。それだけ細かい制御が可能な訳です。
なお、例えば8191にした場合に音がどれだけ上がるのか、はピッチベンドセンシティビティ(またはピッチベンドレンジ)という別のパラメータで設定しますが、「超」入門の範囲を逸脱しそうなので省略します。なにも設定しなければ2度、つまり全音になる事を覚えておけばよいでしょう。

コントロールチェンジ

シンセサイザの各種「つまみ」に相当するイベントです。「つまみ」の種類は128個ありますが、全てが定義されているわけではありません。よく使うのは、

ボリューム 説明は要りませんね。通常は最大100程度にしましょう。
モジュレーション ビブラートをかけます。
パンポット 音を左右に振り分けます。64が真ん中です。ただし、シーケンサによっては-64から63の範囲で、0が真ん中、という表記を使う物もあります。
エクスプレッション ボリュームと同じなんですが、こちらは演奏途中の細かい「表情」を付けるのに使います。

くらいでしょうか。慣れたら音源のマニュアルを参考にして色々なコントローラを試してみましょう。
ただし、音源によってサポートしているコントローラの種類が違うので、注意しましょう。

プログラムチェンジ

「パッチ」チェンジともいいます。そのチャンネルの「音色」を設定します。GMでは128の音色が定義されていますが、GSやXGでは「バンクセレクト」という方法を使って理論的には128X128X128種類の音色を設定できます。実際には音源によって音色の種類は異なります。

システムエクスクルーシブメッセージ

やたら長い名前なので、sysExと略します。これは、各楽器メーカーが自由に定義してよい特殊なイベントです。「システムエクスクルーシブイベント」、とはあまりいいません。
音源の性能を目一杯引き出したい時には必須とも言えますが、当然ながら互換性はありませんので(例外あり)汎用的なデータを作る場合には使いすぎは良くないですね。また、sysExをサポートしない音源でもそれなりに再生できるように注意するべきでしょう。
内容については音源のマニュアル等を参照してください。

なお、どんなデータにも必要なsysExがあります。
音源をリセットする「システムリセット」と呼ばれるものです。
システムリセットがないと、例えば直前に再生した曲で、最後にボリュームが0になっているとそのチャンネルで音が出ない、なんて事になります。
また、XG音源にはGS互換モードがありますが、GSリセットが入っていなければ正しく動作しません。
たまたま、「自分の所だけ」でうまく再生されるので入れ忘れる事があります。注意しましょう。
詳しくはこちらをご覧ください。

メタイベント

メタイベントは、直接の演奏情報ではありませんが、シーケンス名やコピーライトなど「曲」として必要な付加情報、テンポイベントなど演奏に欠かせない情報が含まれています。
曲名、著作権者名(データを作った人も著作権者です)も忘れずに入れておきましょう。

MIDIの「時間」

ティックとタイムベース

MIDI(SMF)では、時間の最小単位を「ティック」と呼びます。では、1ティックはどのくらいの長さでしょうか。それを決めるのがタイムベースです。タイムベースは「分解能」とも呼びます。
タイムベースは、4分音符が何ティックかを設定します。例えば、タイムベースが120なら8分音符は60ティック、三連8分音符は40ティック、全音符は480ティックになります。
タイムベースは、通常120、196、240、480などが使われます。他の値を設定しても構いませんが、シーケンサによってはサポートしていない場合があります。

では、1ティックが何秒かと言うと、もう一つ、テンポによって決まります。

1ティックの時間(秒)=60/テンポ/タイムベース

例えば、テンポ120でタイムベースが480ならば1ティックは1/960秒、約1ミリ秒になります。
ただし、実際にはパソコンや音源等の仕様上この精度が保証される訳ではありません。

デュレーション

ゲートタイムともいいます。ノートオンからノートオフまでのティック数、つまり音の長さを表わします。注意しなければならないのは、記譜上の音の長さではない、ということです。実際の演奏で音符の長さいっぱいいっぱい音を出すことはまれです。また、スタッカートが付いていたら非常に短くなります。逆に、次の音が鳴っても前の音が残っている場合もあります(同じ高さの音に対してこれをやってはいけません)。
DTM上達の第一歩はデュレーションの設定にあり、かもしれません。


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