MIDI「超」入門

MIDIの入門ページはネット上に優良なページがたくさんありますが、ここではMIDI Espressivoのページを読む為に必要な用語、を目安に説明をおこないたいと思います。
DTM初心者向けに書いていますが、分かりにくい所、もっと詳しく説明して欲しい所などありましたらお知らせください。


MIDI
MIDI は Musical Instrument Digital Interface の略で、なんて説明はどこにでも書いてありますが、一つ押さえておきたい事は、現在、コンピュータで音楽(注1)を扱う場合は、ほぼ間違いなくMIDIの規格に従っている、という事です(注2)
パソコンで音楽を扱うソフトウェアは全てMIDIをサポートしているといっても間違いではないでしょう。
つまり「パソコンを使って音楽(DTMといいます)」=MIDIだと思っていい訳ですね。
なお、本来の意味でのMIDIの規格は機器のインターフェースや演奏情報の送信方法などを定めた、簡単なものですが、普通、SMFやMIDI音源(楽器)、ソフトウェアを全部ひっくるめてMIDIと呼ぶ場合が多いです。このページでもほとんどそういう意味で使っています。
SMF
Standard MIDI FIle Format、つまり、MIDIのデータをファイルに記憶する形式の事です。この形式のファイルは、拡張子が「*.mid」「*.smf」になります。
本来、MIDIは楽器どうしで演奏情報をやりとりするための規格です。言わばリアルタイムの規格な訳ですね。
例えば、キーボードAからシンセサイザBに「、C4のキーが押されたじょ」「、C4のキーが離されたじょ」「、ボリュームのつまみが78になったじょ」みたいな情報のやりとりがある訳です。
ここには、「今」しかないことに注意して下さい。音符の長さテンポなどという概念はありません。という概念もありません。
これではコンピュータで扱う場合に困ってしまいますから、ソフトウェアメーカーは独自の形式でMIDIを扱ってきました。
独自の形式という事は、そのソフトウェアで作ったデータは同じソフトウェアでしか読めない、という事で、やはり困ってしまいます。そこで、その名の通り、標準的なMIDIファイルのフォーマット(SMF)というものが登場したのです。
SMFにはMIDIの基本的な情報に加え、調性や曲名など、「音楽」として必要な情報が付加されています。また、テンポや音の長さなど、演奏に必要な情報も定義されているので、ただ単にファイルの互換性ができたばかりでなくコンピュータで扱うMIDIデータ全体に標準をもたらしたと言えます。
SMFの登場により、現在のように気軽にネットワークを使ってデータの交換や発表、ホームページのBGMなどができるようになりました。
現在、ほとんどの音楽を扱うソフトウェアはSMF形式の入出力をサポートしている筈です。
なお、SMFにはフォーマット0,1,2の3種類があります。
フォーマット0はすべてのデータが1つのトラックに格納されています。
フォーマット1は複数のトラックにデータが格納されています。
フォーマット2は複数の曲を一つのファイルに格納する形式のようですが、よく知りません。
フォーマット0と1はほぼ全てのソフトウェアがサポートしていると思いますが、フォーマット2をサポートした物は見たことも聞いた事もありません。フォーマット2は「淘汰された」規格だと思っていいかもしれません。
また、フォーマット1に関しては色々と解釈の余地があったり、独自に仕様を拡張しているものもあり、シーケンサ間で互換性の無いケースやいったんSMFファイルで書き込んでそれを読み込むとデータが化けてしまうケースなど、まだまだ問題があるので注意が必要です。
MIDI音源
言葉どおりに解釈すると、「MIDIに対応した音源」、という事になります。つまりパソコン用の音源はすべてMIDI音源です。
が、通常は「MIDIを使ってDTMをやる為に十分なクオリティを持った音源」、つまり実際の楽器の音を一度録音したデータ(ウェーブテーブル=波形データといいます)を元にリアルな楽器音を再生できる音源の事を言う場合が多いです。
最近は同時発音数が多くて多機能、高音質の高級なものから、安価でも音質は負けていない普及価格帯のもの、ハードが要らないソフトウェア音源など選択の幅が非常に広くなっています。
GS/XG/GM
MIDIの規格は、あまり厳密なものではなく、最初から楽器メーカによる独自の拡張の余地を残したものでした。従って各社とも独自の機能を盛り込んで来た訳ですが、現在、その中で大きな勢力を占めているのがローランド社のGSとヤマハ社のXGです。
また、国際規格の方もGM(General MIDI )という規格を策定し、現在はレベル2というものになっています。
GS、XGともにGMの上位互換となっています(注3)。
チャンネル
MIDI のデータには必ず「チャンネル」という情報が付加されています。チャンネルは16あり(注4)、それぞれ独立してデータを扱うことができます。
元々、複数の楽器をコントロールするため、つまり、チャンネル1にシンセサイザ、2にリズムボックス、3にデジタルピアノ、のように割り当てて使えるように、という目的ですが、パソコン用の音源は16チャンネルすべてを受信して音を出します。独立した音源が16個あると思えばいい訳です。
音源によっては「ポート」というのを利用して32チャンネルや64チャンネル使えるものもありますが、16チャンネル以上を扱うフォーマットは標準規格が無いので、ネットで公開するのには向いていません。確かにフルオーケストラの曲などは16チャンネルでは辛いものがありますが、その辺もデータ作成者の腕の見せ所だと思いましょう。
なお、チャンネル10はドラム専用という事になっています。音源によってはチャンネル10でドラム以外の音を出す事も可能ですが、よほどの理由がない限り避けた方が無難です。
トラック
オーケストラのスコアで言えばパートに相当します。上からピッコロ、フルート、オーボエ、...という奴ですね。
チャンネルとどう違うのか、と思われるかもしれませんが(原則はあくまでも1チャンネル=1トラックです)、トラックには基本的に数の制限はありません。チャンネルは16しかありませんから、1つのチャンネルを複数のトラックで構成する事が可能な訳です。例えば、フルートとピッコロのパートはどちらもフルートの音色で同じチャンネルを使うけど、データを扱う場合は別にしておいた方が編集し易いですね。
逆の場合はどうでしょうか。フォーマット0を除き、一つのトラックに複数のチャンネルのデータを入れるのは禁止です。通常、このような事はやろうと思ってもできませんけども。
シーケンサ
MIDI用のワープロソフトとでもいいましょうか、コンピュータでMIDIを扱う時に最低限必要なソフトです。
元々は名前のとおり入力したパターンを順番に送信する簡単なものだったんでしょうが、現在では機能も価格も様々なものがあります。DTMを始める場合、うまくいくかどうかは自分にあったシーケンサを見つけることができるかどうかにかかっている、と言ってもいいかもしれません。また、複数のシーケンサを用途に合わせて使い分けている方も結構いらっしゃいます。



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脚注 1:
WAVとかMP3とかあるやんけ、と思う方もいるかもしれませんが、あれは「音楽」ではなくて「音」を扱うフォーマットですね。

脚注 2:
他にも、身近な所では通信カラオケなんかでも使われています。

脚注 3:
と、ここまでは客観的な話ですが、GS,XGどちらを選ぶの?という話に行かざるをえません(笑)。

一言で言えば、普及率では(少なくとも国内で流通しているデータは)GSが多いです。
機能的には後発のXGの方が多いです。厭になるくらいあります。

後は、どっちの音が好きか、とかそういう好みの問題とか、たまたま安売りしてたとか(笑)になりますね。ちなみに、同じデータでもコントロールベロシティの効き具合など、GSの方がよく言えば「メリハリの効いた」、悪くいえば「オーバー」な表現になる傾向があるようです。

ちなみに、私はXG(MU-90)です。別にローランドが嫌いとか、そういう訳ではありません。たまたま昔からMIDI関連はYAMAHAで統一してたのと、あえて言えば「ミュージ郎」というネーミングが嫌いだったような(笑)。

でも互換性がなくちゃ困るじゃん、とお思いかもしれませんが、XGにはGS互換モードというのがあり、基本的なGS拡張機能をサポートしています。また、ドキュメントには記述が無いもののGSでもXGのコントロールをいくつか受信するようです。

作り手の方からいえば、GM用に作っておけば間違いが無い事になりますね。もちろんそれぞれ独自の機能を使わないとやりたいことができない場合もあるでしょうけど、そうでない場合はできるだけ汎用的に作るのもデータ作成者の心得の一つ、だと思います。

脚注 4:
0〜15だったり、1〜16だったりしますが、ここでは1〜16という事で表記します。


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